森岡毅 講師派遣USJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)をV字回復させたことで知られる森岡毅氏。
マーケティングは講演会やセミナーでも人気のテーマなので、Speakersにも講師派遣のご相談を多数頂きます。

森岡毅氏はかつてNHKの人気番組『プロフェッショナル 仕事の流儀』にも出演されており、450億円もの大金を投じて進められたハリーポッターのアトラクションを成功させるべく、得意の数学を駆使して需要を予測しつつ、現場で足を使いながらアイデアを導き、邁進する姿は大変魅力的でした。

森岡毅氏の著書『USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?』の中で、天才ではないという自身のアイデア発想法を紹介されています。

森岡氏いわくアイデアの神様の正体は「確率」であり、良いアイデアを生み出す方法とは、良いアイデアを思いつく確率を上げる方法なのです。そして、その確率を高めるために辿られる思考の型があり、それが「イノベーション・フレームワーク」と呼ばれるものです。

1)フレームワークでポイントを絞る:
良いアイデアを考える前に、まずそれはどのような条件を満たすアイデアであるのかを吟味し、
それらの条件を組み合わせながら、どういった着眼点に注力して考えるべきかを整理します。
同書の中でも森岡氏がアイデアをひねり出す際、まずはその必要条件を4つほど書き出している場面が多く出てきます。
どこに宝が埋まっているかも分からない状態で掘り始めても宝に出会える確率は低いはず。
そこで森岡氏は、できるかぎり効率的よく宝を掘り当てるためのポイントの絞り方として、
考えるべき枠組みを正しく設定し、その外の領域を捨てることを推奨しているのです。

「何よりも大切なのは、最初に目的をよく考えて、明確に定義することです。その上で、その目的を達成するために、持っている経営資源(ヒト、モノ、カネ、情報、時間、ブランド等の知的財産など)を何に集中するのかを選んで決めます。その選択が戦略なのですが、理解として大切なのはその戦略こそが生み出すべきアイデアの必要範囲を決める『必要条件』そのものになっていることです。なぜならば、アイデアとはその戦略の延長線上で次に考えるべき戦術そのものだからです」

ちなみに森岡氏がヘッドハンティングでのUSJ入社後まもなく着手した戦略「小さな子供連れファミリーの獲得」おいて考えた必要条件は以下の通りです。
①「小さな子供連れは楽しめない」という消費者のパーク全体に対する認識を強く覆すものでなくてはならない。
②実際に数割増えるであろう集客に十分に大きな収容キャパがなくてはならない。
③設備投資資金の予算内で実現できるアイデアでなければならない。
④既存資産とのプラスの相乗効果で経営効率を高めるアイデアであれば尚良い。

もちろん、こうした戦略的フレームワークが机上の空論にならぬよう、ある程度の実現可能性を十分に意識しておくことも重要だと森岡毅氏は書き添えています。

2)リアプライ
何かアイデアを生み出そうというときに、何でもゼロから始めたがるのは日本人の悪い癖だと森岡氏は指摘します。アイデアの必要条件が明確になったら、過去から現在に至るどこかで似たような問題に直面した人がいないか、まずは世界中からアイデアを探すのです(もちろん、まんま盗用するのではなく、戦略やアイデアの核心を抽出して、適宜修正を加えます)。

3)ストック:
人は気付かないことは考えられません。アイデアを生み出すためには日頃からアンテナを張り、有意義な情報をストックしておくことが重要です。
そして自分が誰よりも知っている得意分野を持つと同時に、それらを組み合わせた人の繋がりを持ち、
チームとしてストックを増やすことも重要となります。
そこでマネジメント層は、新しい発想とストックの多様性を意識してチームを編成することが大切です。

4)コミットメント:
「フレームワークで考えるべきポイントを明確にし、リアプライで世界中からアイデアを探し、自身やチームのストックで文脈の豊かな情報を活用したら、あとは考えつくまで考え抜くことです」。
と、森岡毅氏がアイデアを生み出すために必要なものとして最後に挙げたのは、良いアイデアを絶対に思いつくという覚悟でした。
淡白な人に「確率の神様」=「アイデアの神様」は微笑んではくれません
例えば良いアイデアを思いつかなければ家族に危害が及ぶという状態になれば、誰しも必死に考えるはず。それは、良いアイデアが思い浮かばなければ会社が傾くというような状態も同じはず。
そして、必死に考え抜いていると、いわゆるゾーンのような状態に入り、いつしか(ときには寝ているときに夢として)アイデアが降りてくるそうです。。。

こうしてヒットを生み続けてきた自身のアイデア発想法を紹介した上で、森岡毅氏は、結局のところアイデアは実現させないと意味がない、と説いてます。
アイデアが実際にどれだけ成功するか、最後のビジネスの結果はエクセキューション(実行・執行)で決まるのです!!

『USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?』は、エンターテイメントに賭ける森岡毅氏の成功の軌跡とその魅力、才能がぎっしり詰まった一冊です。
上記のような考え方はビジネスにとどまらず、人生の上でも、未来を切り開くための重要な思考を導いてくれるような気がします。講師派遣のお問合せを頂くのも納得ですね。。。
何かを変えたい、何かが上手くいかない、漠然と夢はあるけれどなかなか叶えられそうもない、、、
そうした悩みを抱えておられる方に是非オススメです!

ついに再上場を果たし、沖縄進出を見据えるUSJ。
全国のマーケティング担当者の皆様、これからも森岡毅氏の動向(講演会も!)から目が離せません!!

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