2017年のNHK大河ドラマ『おんな城主 直虎』で描かれるのは戦国の世を駆け抜けた女性・井伊直虎の波乱万丈の生涯。
お家断絶の危機に立ち上がった、希代の“おんな城主”と言われていますが、じつは井伊家の歴代当主の中にはその名は刻まれていません。しかし、後に徳川四天王の一人に数えられた井伊直政を育てた人物として戦国時代を語る上でその存在に注目せずにはいられない女性です。
第1回は2017年1月8日(日)20:00~20:45に放送されます。サブタイトルは「井伊谷(いいのや)の少女」。その放送前に、“おんな城主”直虎はどんな人物なのか、1月3日に放送された特別番組「戦国の女傑 直虎の魅力 大河ドラマ『おんな城主 直虎』を10倍楽しむ」より、キャスト陣の本音トークから見えてきたその魅力や物語の見どころに迫りたいと思います。
魅力1:豪華キャストとスタッフが作る世界
大河の魅力は何と言っても豪華キャストです。今回、主人公の井伊直虎を演じるのは柴咲コウさん。井伊直政に菅田将暉さん、井伊直親に三浦春馬さん、小野政次に高橋一生さん、南渓和尚に小林薫さん、今川義元に春風亭昇太さん、寿桂尼に浅丘ルリ子さん、徳川家康に阿部サダヲさん、瀬戸方久にムロツヨシさん……と、他にも人気も実力もあるキャストが出演されます。キャストだけでなく、スタッフも錚々たる顔ぶれです。脚本はNHK朝の連続テレビ小説『ごちそうさん』や、TBSテレビ60周年特別企画『天皇の料理番』など数々のドラマ脚本を手掛けてきたヒットメーカー森下佳子さん。そして、音楽を担当するのは菅野よう子さん。菅野さんはその作品から、「アニメサントラの潮流を変えた」とも言われる作曲家。『カウボーイビバップ』『攻殻機動隊』『マクロスF』など人気作品の音楽を作ってこられました。また、震災復興支援ソング「花は咲く」は岩井俊二さんの書いた歌詞とともに広く知られています。題字は、Maaya Wakasugiさん、語りに中村梅雀さん、時代考証を小和田哲男先生が務められるということで、どんな物語が観られるのか放送前から期待が高まります。
魅力2:「直虎」と彼女を取り巻く人々
今作の主人公「直虎」ですが、名前を聞いてもピンとこない方も多いようです。柴咲コウさんもこの作品ではじめて「直虎」を知り、女性だと知った時には「えっ!?」と、かなり驚いたそうです。けれど、話を聞いてワクワクが大きかったと語っていました。またムロツヨシさんは、「不器用でも自分の歩き方で、走り方で、生き方で、国のこと人のことを一番にしながらも自分の気持ちに正直に生きた直虎が好きだな。女性として魅力的に感じる」と。柴咲さんが演じる“凛”と、しなやかな直虎に注目です。
直虎を取り巻く人々も魅力的です。前半で特に気になるのが、おとわ(後の直虎)を介して寄り添って、離れてを繰り返す直親と政次。親友なのか、敵なのか……演じた三浦さんと高橋さんもせつなかったと語った二人の関係がどんな風に描かれているのかも見どころです。
魅力3:美しい風景
柴咲さんは豊かな自然の中で毎日癒されながら撮影ができたそうです。高橋一生さんは田園風景とその先に作られた井伊谷の風景を最初に見た時、「日本なんだけど日本ともちょっと違うような、日本の原風景の中に寓話的なものも入っているような感じがあってこんな素敵なところで芝居をさせていただけるんだ」と感動したと言います。物語とともに、出演者が感動したという美しい風景と戦国時代の集落を再現したオープンセットも楽しみです。
静岡県浜松市に今もなお、「井伊谷」の地名は残っています。共保公出生の井戸、龍潭寺など井伊家のゆかりの地を巡ってみるのも素敵ではないでしょうか。
魅力4:タイトル映像と音楽
テーマは「戦う花」。画面を彩るのはすべて植物の映像。映像ディレクターの古屋遥さんは直虎を「根を地に生やしてたくましく未来に種を残していった彼女の人生そのものが花のようだと思った」そうで、そこからさまざまな植物をモチーフに選んだと言います。そんなコンセプトを植物のスペシャリスト、プラントハンター・西畠清順さんがサポートしました。西畠さんも「植物の素直な本能が直虎にぴったり」だと思ったそうです。お二人は、表現したいイメージに合う植物を一つ一つ決めていったそうですが、ただ一つ、直虎をイメージして考えられた「直虎の花」だけは架空の花。タイトルの映像は、かぶとに勝つ直虎の花を表しています。他の植物はこの世に存在しているものでも直虎の花だけは存在しなかった。架空の花を見つける旅に出た古屋さんと西畠さんが見つけ、咲かせた花、そして種として植えられた植物たちが物語とともにどのように成長していくのか、その美麗な世界が想像をかきたてます。
魅力5:物語を引き締める時代考証
これまでにも1996年の『秀吉』にはじまり、2006年『功名が辻』、2009年『天地人』、2011年『江~姫たちの戦国~』、2014年『軍師官兵衛』と、時代考証を担当してこられた小和田哲男先生。今作でも、戦国時代史研究の第一人者として直虎の生涯を細部に渡り入念に確認されています。
2016年12月15日、新聞に掲載された「直虎は男だった?」という説に関しても、次郎法師の印判状(「龍潭寺文書」)という論拠をもって次郎法師が一時的にではあれ、井伊谷を支配していたことは明らかだと語られています。
ただ、その新出の史料についての小和田先生の見解はそれだけで終わらず、おもしろい史料であることは間違いないので、今後、多くの研究者によって議論が深まることを期待されてもいるそうです。まだまだ、深いお話がありそうですが、それはぜひ、講演会で聴いてください。小和田哲男先生への講演依頼・講師派遣のお問い合わせはコチラ!
こんな風に多くの魅力溢れるNHK大河ドラマ『おんな城主 直虎』。ぜひ、自分なりの視点でお楽しみください。