ソチ五輪で活躍した高橋大輔選手。
誰もが惹き付けられる演技で世界中をとりこに。
日本だけでなく世界にも多くのファンがいます。
そんな高橋選手のフォトエッセイがコチラ。
高橋大輔 氏
『be SOUL』
日本男子フィギュアスケートで初の世界王者になった高橋大輔選手。
2010年に出版された本で、それまでの苦悩と栄光、さらに高橋選手の個人的な話などエッセイ形式で書かれています。
スケートを始めたきっかけは、小学校近くのスケートリンクにアイスホッケーの練習を見学したときに、
隣で行われていたフィギュアスケートの練習がずっと楽しく見え、やってみたいと両親に告げたこと。
ほぼ毎日8時間ほど遊び感覚でフィギュアスケートの練習をしていたそう。
中学2年の夏に、初のジュニアシーズンで初めて海外試合に行く前、
佐野稔さんからの紹介で長光コーチと仙台で初めて会いました。
高橋選手の知らないところで環境だけが急に変わりだして嬉しいというより、
戸惑いを感じ、子どもながらに「やめられない!」と感じていたそう。
意外とスケート技術や表現力を指摘されるかと思いきや、しつこく教えられたことはスケートではなくマナーについてでした。
レディファースト、重い荷物は男が持つ、スケート靴は必ず自分が持つ・・・
海外の試合に出たときに選手としてよりも“男として”恥ずかしくないようにかなりうるさく言われていました。
今では海外のコーチにお願いをしている高橋選手ですが、サポート的立場に長光コーチは常に一緒にいます
長光コーチは、どんなにワガママを言われても常に一緒で高橋選手を一人ぼっちにさせませんでした。
感謝してもしきれないぐらい、母親のような存在だといいます。
前十字靭帯断裂・右膝半月板損傷で選手生命が危ぶまれたときにも
「やめたければ、やめてもいいわよ」と声をかけ、高橋選手の天邪鬼な性格を利用したそうです。
エッセイということで、色々なパーソナルな部分も書かれています。
高橋選手のステップは「世界最高のステップ」とも賞されますが、実はステップは好きではなく、お客さんを惹き付けてやるという意識もないそう。
ただ、見ている人が「高橋選手らしい!」「何か他の選手とは違う雰囲気だな!」と思ってくれたらいいと語っており、非常に意外でした
更には、
・実はストイックではなく自分に甘くて弱い、最後のところで、「まぁいいか」と怠けてしまう。
・滑走順を待つ間は「魔の時間」と呼び、一番嫌いな時。
・よく「お客さん・会場と一体になっていた!」などと言われるが、実際は自分に一杯一杯でお客さんの顔はあまり見えていない。
・人にどう思われているか、を常に気にする”メンドクサイ妄想族”
など、知られざる高橋選手の一面を垣間見ることができます。
フィギュアスケート観戦の際には、技術や表現力に見入ってしまいますが、
選手のパーソナルな部分を知ると一段とスポーツを楽しく見ることができると感じさせてくれる一冊です。
高橋選手のファン、フィギュアスケートファン以外にも、コーチと選手との絆や、
コミュニケーションのとり方も学べますので、様々な分野のかたに読んでいただきたい本です。