本日は、名越康文氏の
「自分を支える心の技法 対人関係を変える9つのレッスン」を
ご紹介します。
精神科医である著者、名越康文氏。
心理学や精神分析などの面、
さらに西洋医学的・仏教的な考えを交えて書かれていて、
自分自身を変えて行くための視点と方法を教えてくれる本となっています。
名越氏は、
“対人関係の問題を解決するには、他人の言動にとらわれるのでなく、自分の心に向き合うしかない”
“自分の心が、一瞬にして変わるものであり、自分では制御しきれないくらいの暴れ馬である”
“そして、それをコントロールすることが一大課題であること。” と、述べています。
面白かったのは、「怒りの起源」を知るというテーマで書かれている章。
赤ちゃんはなぜ泣くのか?
人間の最初の感情は怒りであるとしています。
“僕たちは人生の最初に、怒り、泣きわめくことによって、自分の不快を除去することを学ぶ”と。
赤ちゃんとお母さんの間で行われる最初のコミュニケーションである「おぎゃー」。
コミュニケーションの側面でみると、
これは「相手をコントロールする道具としての泣き声」だそう。
赤ちゃんが泣くのは、
お腹が空いたり、おしめを取り替えてほしい、暑い寒いなどの不快を感じているから。
そんな時お母さんは、泣きじゃくる赤ちゃんの要因は何だろう?と考えて、
なぜだか「ごめんね~」と謝りながら世話をして、不快を取り除いてあげようとする。
これを名越氏は、人間の原始的なコミュニケーションの鋳型と呼んでいます。
赤ちゃんが不快を感じて怒る。→お母さんが謝りながら不快を除去してくれる。
人間の親子は、このコミュニケーションのパターンを三歳になるまで徹底して繰り返す。
(確かに、みんな自然に謝ってますよね~)
人生の最初に、怒り、泣きわめくことによって、自分の不快を除去することを学び、
怒ることによって、不快を快に変えることができるというメカニズムを身につける。
しかも、自分のことを気遣ってくれる人に、感情的な怒りをぶつけてしまうことを宿命づけられている。
そして、怒りの起源は、愛情欲求の起源でもあって、
そこへ「認めてほしい」「分かってほしい」という感情も複雑に絡んでくるのだそうです。
泣いて、望みを叶えてきた私たち。
でもそれが、大切にされている・愛されている証拠なんだと学んできてしまった
運命を持っているんですね。不思議です。
その他、
怒りを減らすにはどうしたらよいのか?
そして、なぜ怒っている人に弱いのか?
怒りにどう対処したらいいか?
対人関係をどう考えていけばいいのか?
簡単な瞑想方法や性格分類など、心を軽くするたくさんのヒントが掲載されています。
何に怒っているのか?どうしたいのか?
無視せず、きちんと自分で気付いてあげることで、自覚すると、
自分の心に振り回されるということもなくなるのかも知れませんね。
もちろん、名越康文氏は講演も人気です。
優しい語り口ですが、とても説得力のある講演はとてもお薦めです。